『爾雅』釋木

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0001 (トウ,tao1)、山榎(サンカ,shan1jia3)
       〔今之山楸
(サンシュウ,shan1qiu1)。〕
       
トウキササゲ Catalpa bungei(楸)か。
           榎はエノキではない、エノキの漢名は朴(ハク・ボク,po4)》


0002 栲
(コウ,kao3)、山樗(サンチョ,shan1chu1)
       〔栲、似樗、色小白、生山中、因名云、亦類漆樹
(シツジュ,qi1shu4)。〕
       《今日の栲は、二義あり。
             一は、ゴンズイ Euscaphis japonica(野鴉椿)。
             一は、ブナ科シイ属 Castanopsis(栲屬)の総称。
          今日の樗は、ニワウルシ Ailanthus altissima(臭椿)。漆は、ウルシ


0003 柏
(ハク,bo2)(キク,ju2)
       〔『禮記』曰、
(チョウ,chang4)曰以椈。
       
《広義には、ヒノキ科(柏科)の総称、狭義には コノテガシワ Biota orientalis(側柏)。
           柏の現代音は bai3 だが、古典では bo2 と読む》


0004 髠
(コン,kun1)(コン,kun3)
       〔未詳。〕

0005 
(椴;タン,duan4)、柂(イ,yi2)
       〔白椵
(椴;ハクタン,bai2duan4)也。樹似白楊(ハクヨウ,bai2yang2)。〕
       
《椴には、二義あり。
             一は、シナノキ科シナノキ属 Tilia(椴樹屬)の総称、狭義には T.duan(椴樹)。
             二は、ムクゲ Hibiscus syriacus(木槿)。釋草0006を見よ。
           白椴は、ボダイジュ T.miqueliana(南京椴)。》
       《白楊は、ヤナギ科ヤマナラシ(ハコヤナギ)属 Populus(楊屬)の一部。
           椴楊といえば、Populus hopeiensis(河北楊)》

       
《椵(カ,jia3)と椴は、本来は別字。釋木0008を見よ》

0006 梅
(バイ,mei2)、柟(ゼン・ネン,ran2)
       〔似杏
(コウ,xing4)、實酢。〕
       
柟は枏と同字。
             ダン・ナン,nan2 と読めばクスノキ科の楠木 Phoebe nanmu、
             ゼン・ネン,ran2 と読めばウメ
Prunus mune(梅)》

0007 柀
(ヒ,bi3)、煔(サン,shan1)
       〔煔、似松
(ショウ,song1)、生江南。可以爲船及棺材。作柱、埋之不腐。〕
       
コウヨウザン Cunnighamia lanceolata(杉)》

0008 櫠
(ハイ,fei4)、椵(カ,jia3)
       〔柚
(ユウ,you4)屬也。子大如盂、皮厚二三寸、中似枳(シ,zhi3)、食之少味。〕

0009 
(ジュウ,niu3)、檍(ヨク,yi4)
       〔似棣
(テイ,di4)、細葉。葉新生、可飼牛。材中車輞。關西呼杻子、一名土橿(ドキョウ,tu3jiang1)。〕

0010 楙
(ボウ,mao4)、木瓜(ボクカ,mu4gua1)。
       〔實如小瓜、酢、可食。〕
       
ボケ Chaenomeles lagenaria(貼梗海棠)》

0011
(リョウ,liang2)、即來(ライ,lai2)
       〔今椋材、中車輞。〕

       
ミズキ属の Cornus macrophylla(棶木・椋子)》

0012 栵
(レツ,lie4)、栭(ジ,er2)
       〔樹似槲樕
(コクソク,hu2su4)、而庳小。子如細粟、可食。今江東亦呼爲栭栗。〕
       
クリ属のシバグリ Castanea seguinii(茅栗)》

0013 
(カク,hua4)、落(ラク,luo4)
       〔可以爲杯器素。〕

       
《『中薬大辞典』3202に、ギョリュウ Tamarix chinensis(檉柳)の異名と》

0014 柚
(ユウ,you4)、條(ジョウ,tiao2)
       〔似橙
(トウ,cheng2)、實酢。生江南。〕
       
ユズ Citrus junos(蟹橙)》

0015 時
(ジ,shi2)、英梅(エイバイ,ying1mei2)
       〔雀梅
(ジャクバイ,que4mei2)。〕
       
ニワウメ Prunus japonica(郁李)、0089重出》

0016
(エン,yuan2)、柜桏(キョキョウ,ju3qiong2)
       〔未詳。或曰、桏當爲柳。柜桏似柳
(リュウ,liu3)、皮可以煮作飮。
       
シナサワグルミ Pterocarya atenoptera(楓楊・欅柳)》

0017 
(ク,xu3)、杍(シ,zi3)
       〔柞
(サク,zuo4)樹。〕
       
クヌギ Quercus acutissima(麻櫟)。は、一に杼(ショ,shu4)に作る

0018 味
(ビ,wei4)荎著(チツチョ,chi2zhu4)
       〔釋草已有此名
(0168)。疑誤重出。〕
       チョウセンゴミシ Schisandra chinensis(五味子)》

0019 藲
(オウ,ou1)、荎(チツ,chi2)
       〔今之刺楡
(シユ,ci4yu2)。〕
       
《ニレ科の Hemiptelea davidii(刺楡)》

0020 杜
(ト,du4)、甘棠(カントウ,gan1tang2)
       〔今之杜梨
(トリ,du4li2)。〕
      
 《ナシ属の Pyrus betulaefolia(杜梨)》

0021 狄
(テキ,di2)、臧(ゾウコウ,zang1gao1)、貢(コウキ,gong4qi2)
       〔皆未詳。〕

0022 
(キュウ,qiu2)檕梅(ケイバイ,ji4mei2)
       〔朹樹、狀似梅子、如指頭、赤色、似小■
{木偏に柰。柰に同}(ダイ,nai4)、可食。
       
サンザシ Crataegus pinnatifida(山樝)》

0023 ■
{木偏に斗}(トウ,dou3;シュ,zhu3)者、聊(リョウ,liao2)
       〔未詳。〕

0024 魄
(ハク,po4)、榽橀(ケイケイ,xi1xi1)
       〔魄、大木細葉、似檀
(タン,tan2)。今江東多有之。齊人諺曰、上山斫檀、榽橀先彈。〕
       
0025 梫
(シン,qin3)、木桂(ボクケイ,mu4gui4)
       〔今南人呼桂厚皮者、爲木桂。桂樹、葉似枇杷
(ビワ,pi2pa2)而大。白華、華而不著子。叢生巌嶺、枝葉冬夏常靑、間無雜木。〕
       
トンキンニッケイ Cinnamomum cassia(肉桂)》

0026 
(リン,lun2)、無疵(ブシ,wu2ci1)
       〔棆、楩
(ヘン,pian2)屬。似豫章(ヨショウ,yu4zhang1,クロモジとクス)。〕
       
クロモジ Lindera unbellata(大葉釣樟)》

0027 椐
(キョ,ju1)、樻(キ,kui4)
       〔腫節、可以爲杖。〕
       
《イヌガヤ科イヌガヤ属 Cephalotaxus(三尖杉屬)の仲間(靈壽木)》

0028 檉
(テイ,cheng1)、河柳(カリュウ,he2liu3)
       〔今河旁赤莖小楊。〕
       
ギョリュウ Tamrix chinensis(檉柳)》

0029 
(ボウ,mao2)、澤柳(タクリュウ,ze2liu3)
       〔生澤中者。〕

0030 楊
(ヨウ,yang2)、蒲柳(ホリュウ,pu2liu3)
       〔可以爲箭。『左傳』所謂董澤之蒲。〕
       
《ヤナギのうち枝が上を向くもの、ネコヤナギ Salix gracilistyla(細柱柳・蒲柳・水楊)。
            今日では、楊はハコヤナギ属 Populus の、柳はヤナギ属 Salix の総称》


0031 權(ケン,quan2)、黃英
(コウエイ,huang2ying1)
0032 輔
(フ,fu3)、小木(ショウボク,xiao3mu4)
       〔權・輔、皆未詳。〕
      
 《權は、『爾雅』釋草0165に重出》
       
《小木は、すなわち扶蘇なりと》

0033 杜
(ト,du4)、赤棠(セキトウ,chi4tang2)
0034 白者、棠
(トウ,tang2)
       〔棠、色異異其名。〕
       
ナシの同属異種 Pyrus betulaefolia(杜梨)》

0035 諸慮
(ショリョ,zhu14)、山櫐(サンルイ,shan1lei3)
       〔今江東呼櫐爲藤
(トウ,teng2)、似葛(カツ,ge2)而麤大。〕

0036 ■
{木偏に聶}(ショウ,she4)、虎(コルイ,hu3lei3)
       〔今虎豆
(コトウ,hu3dou4)、纏蔓林樹而生、莢有毛刺。今江東呼爲●{木偏に巤}(リョウショウ,lie4she4)。〕
       
フジの同属異種シナフジ Wisteria chinensis(紫藤)》

0037 杞
(キ,qi3)、枸■{木偏に[繼の旁]}(クケイ,gou3ji4)
       〔今枸杞
(クコ,gou3qi3)也。〕
       
クコ Lycium chinense(枸杞)》

0038 杬
(ゲン,yuan2)、魚毒。
       〔杬、大木、子似栗
(リツ,li4)。生南方。皮厚、汁赤、中藏卵果。〕
       
フジモドキ(チョウジザクラ・サツマフジ) Daphne genkwa(芫花)》

0039 檓
(キ,hui3)、大椒(タイショウ,da4jiao1)
       〔今椒樹叢生、實大者、名爲檓。〕
       
《Zanthoxylum bungeanum(花椒)》

0040 
(ユ,yu2)、鼠梓(ソシ,shu3zi3)
       〔楸
(シュウ,qiu1)屬也。今江東有虎梓(コシ,hu3zi3)。〕
       《底本は栧(エイ,yi4;枻に同)に作るが、『四部備要』本などにより改む》

0041 楓
(フウ,feng1)、■{木偏に聶}(ショウショウ,she4she4)
       〔楓樹、似白楊
(ハクヨウ,bai2yang2)、葉員而岐、有脂而香。今之楓香(フウコウ,feng1xiang1)是。〕
       
フウ Liquidambar formosana(楓香樹)》

0042 寓木
(グウボク,yu4mu4)、宛童(エンドウ,wan3tong2)
       〔寄生樹、一名蔦
(チョウ,niao3)。〕

0043 无姑
(ブコ,wu2gu1)。其實、夷(イ,yi2)
       〔无姑、姑楡
(コユ,gu1yu2)也。生山中、葉員而厚、剝取皮合漬之、其味辛香。所謂无夷(ブイ,wu2yi2)。〕
       
ニレの同属異種 Ulmus macrocarpa(大果楡・黄楡・毛楡・山楡・蕪荑)》

0044 櫟
(レキ,li4)、其實梂(キュウ,qiu2)
       〔有梂彙自裹。〕
       
クヌギ Quercus acutissima(麻櫟)》

0045 檖
(スイ,sui4)(ラ,luo2)
       〔今楊檖
(ヨウスイ,yang2sui4)也。實似梨而小、酢。可食。〕
       
ナシの同属異種マメナシ Pyrus calleryana(豆梨)》

0046 楔
(セツ,xie1)、荊桃(ケイトウ,jing1tao2)
       〔今櫻桃
(オウトウ,ying1tao2)。〕
       
シナミザクラ Prunus pseudocerasus(櫻桃)》

0047 旄
(ボウ,mao2)、冬桃(トウトウ,dong1tao2)
       〔子、冬熟。〕
       
《今日甘粛省成県に十月桃(一名冬桃)を産する。果実は平均の重さ100g、11月下旬に採集し、翌年4,5月まで保存が可能(中国果樹志・桃巻)》

0048 榹桃
(シトウ,si1tao2)、山桃(サントウ,shan1tao2)
       〔子、如桃而小。不解核。〕
       
《Prunus davidiana(山桃)》

0049 休
(キュウ,xiu1)、无實李(リ,li3)
       〔一名趙李
(チョウリ,zhao4li3)。〕
       
スモモ Prunus salicina(李)の一種》

0050 痤
(サ,cuo2)、椄慮李(セツリョリ,jie14li3)
       〔今之麥李
(バクリ,mai4li3)。〕
       
ニワザクラ Prunus glandulosa(麥李)》
  

0051 駁(バク,bo2)、赤李(セキリ,chi4li3)
       〔子赤。〕

0052 棗
(ソウ,zao3)、壺棗(コソウ,hu2zao3)
       〔今江東呼棗(コソウ,hu1zao3)。大而鋭上者、爲壺。壺、猶
(コ,hu2)也。〕
0053 邊
(ヘン,bian1)、要棗(ヨウソウ,yao1zao3)
       〔子、細腰。今謂之鹿盧棗
(ロクロソウ,lu4lu2zao3)。〕
0054 櫅
(セイ,ji1)、白棗(ハクソウ,bai2zao3)
       〔即今棗子、白熟。〕
0055 樲
(ジ,er4)、酸棗(サンソウ,suan1zao3)
       〔樹小、實酢。『孟子』曰、養其樲棗。〕
       
《『孟子』告子上に、「今有場師(植木屋)、舍其梧檟(キリとアズサ)、養其樲棘(ナツメとイバラ)、則爲賤場師焉。」と》
0056 楊徹
(ヨウテツ,yang2che4)、齊棗(セイソウ,qi2zao3)
       〔未詳。〕
0057 遵
(シュン,zun1)、羊棗(ヨウソウ,yang2zao3)
       〔實小而員、紫黑色。今俗呼之爲羊矢棗
(ヨウシソウ,yang2shi3zao3)。『孟子』曰、曾晳嗜羊棗。〕
       
《『孟子』盡心下に、「曾(曾子の父)嗜羊棗、而曾子不忍食羊棗。」と》
0059 洗
(セン,xian3)、大棗(タイソウ,da4zao3)
       〔今河東猗氏縣、出大棗。子、如鷄卵。〕
0060 煮
(シャ,zhu3)、塡棗(テンソウ,zhen4zao3)
       〔未詳。〕
0061 蹶洩
(ケツセツ,jue2xie4)、苦棗(クソウ,ku3zao3)
       〔子、味苦。〕
0062 晳
(セキ,xi1)、無實棗。
       〔無著子者。〕
0063 還味
(カンビ,huan2wei4)(ジンソウ,ren3zao3)
       〔還味、短苦。〕
       《以上0052-0063、ナツメ Zizyphus jujuba(棗)の諸品種》

0064 櫬
(シン,chen4)、梧(ゴ,wu2)
       〔今梧桐
(ゴトウ,wu2tong2)。〕
      
 《アオギリ Firmiana simplex(梧桐)》

0065 樸
(ボク,pu2)、枹(ホウ,bao1)者。
       〔樸屬叢生者、爲枹。『詩』所謂棫樸
(ヨクボク,yu4pu2)、枹櫟(ホウレキ,bao1li4)。〕
       
《『詩經』大雅・文王之什・棫樸に、「芃芃(ホウホウ,peng2peng2)棫樸、薪之槱之」と。毛傳に、「棫、白桵也。樸、枹木也」と。桵(ズイ,rui2)はタラノキ
       
《今日の枹櫟は、コナラ Quercus serrata(枹櫟)》

0066 謂櫬
(シン,chen4)、采薪(シン,xin1)
0067 采薪、即薪

       〔指解、今樵薪。〕

0068 棪
(エン,yan3)、■{木偏に速。樕の俗字}(ソクキ,su4qi2)
       〔棪實、似奈
(ダイ,nai4)赤、可食。〕

0069 劉(リュウ,liu2)、劉杙
(リュウヨク,liu2yi4)
       〔劉子、生山中。實如梨
(リ,li2)、酢甜、核堅。出交趾。〕

0070 櫰
(カイ,huai2)、槐(カイ,huai2)大葉而黑。
       〔槐樹、葉大色黑者、名爲櫰。〕
0071 守宮槐
(シュキュウカイ,shou3gong1huai2)、葉晝聶宵炕。
       〔槐葉、晝日聶合、而夜炕布者、名爲守宮槐。〕
       
エンジュ Sophora japonica(槐樹)》

0072 槐
(カイ,huai2)、小葉曰榎(カ,jia3)
       〔槐、當爲楸
(シュウ,qiu1)。楸、細葉者、爲榎。〕
0073 大而皵、楸。
       〔老乃皮麤皵者、爲楸。〕
0074 小而皵、榎。
       〔小而皮麤皵者、爲榎。『左傳』曰、使擇美榎。〕
       
《『左傳』襄公2年に、「穆姜、使擇美檟(カ,jia3,榎と同)、以自爲櫬(ひつぎ)與頌琴(こと)」と》
0075 椅
(イ,yi1)、梓(シ,zi3)
       〔即楸。〕
       
《梓・楸・榎()は、キササゲ属 Catalpa の樹木。梓は キササゲ C.ovata、楸は トウキササゲ C.bungei》

0076 桋
(イ,yi2)、赤梀(セキソク,chi4su4)
0077 白者、梀
(ソク,su4)
       〔赤梀樹、葉細而岥鋭、皮理錯戻、好叢生山中、中爲車輞。白梀、葉員而岥、爲大木。
       
《『四部備要』本は、は岐に作る。シイの同属異種 C. sclerophylla (苦櫧栲・苦櫧・苦櫧錐・苦栗)》

0078 終
(シュウ,zhong1)、牛棘(ギュウキョク,niu2ji2)
       〔即馬棘
(バキョク,ma3ji2)也。其刺麤而長。〕

0079 灌木
(カンボク,guan4mu4)、叢木(ソウボク,cong2mu4)
       〔『詩』曰、集於灌木。〕

0080 瘣
(カイボク,hui4mu4)、苻婁(フル,pu2lou2)
       〔謂木病尫
(オウウ,wang1yu3)癭腫、無枝條。〕

0081 蕡
(フン,fen2)(アイ,ai3)
       〔樹實繁茂菴。〕

0082 (ホウ,bao1)
(シュウボク,qiu2mu4)、魁瘣(カイカイ,kui3hui4)
       〔謂樹木叢生、根枝節目、盤結磈磊
(カイライ,kui3lei3)。〕

0083 棫(ヨク,yu4)、白桵
(ハクズイ,bai2rui2)
       〔桵、小木、叢生有刺。實如耳璫、紫赤、可啖。〕
       
タラノキ Aralia elata(遼東楤木)》

0084 梨
(リ,li2)、山(サンリ,shan1li2)
       〔即今梨樹。〕

       
ナシ Pyrus pyrifolia(沙梨)》

0085 桑
(ソウ,sang1)、辨有(シン,shen4)、梔(シ,zhi1)
       〔辨、半也。〕
      
 《クワ Morus alba(桑)》

0086 女桑
(ジョソウ,nü3sang1)、桋桑(テイソウ,ti2sang1)
       〔今俗呼桑樹
(ソウジュ,sang1shu2)、小而條長者、爲女桑樹。〕

0087 楡
(ユ,yu2)、白枌(ハクフン,bai2fen2)
       〔枌、楡先生葉、却著莢、皮色白。〕
       
ニレの同属異種 U. pumila(楡・白楡・家楡・枌・白枌)》

0088 唐棣
(トウテイ,tang2di4)、栘(イ,yi2)
       〔似白楊
(ハクヨウ,bai2yang2)、江東呼夫栘(フイ,fu1yi2)。〕
       
ニワウメ Prunus japonica(郁李)、一説にシデの仲間》

0089 常棣
(ジョウテイ,chang2di4)、棣(テイ,di4)
       〔今山中有棣樹、子如櫻桃
(オウトウ,ying1tao2)、可食。〕
      
 《『四部備要』本は、山中を關西に作る》
       
ニワウメ Prunus japonica(郁李)》

0090 檟
(カ,jia3)、苦荼(クト,ku3tu2)
       〔樹小似梔子
(シシ,zhi1zi3)、冬生葉、可煮作羹飮。今呼早采者爲荼(ト,tu2)、晩取者爲茗(メイ,ming2)。一名荈(セン,chuan3)、蜀人名之苦荼。〕
       
チャノキ Camellia sinensis(茶)》

0091 樕樸
(ソクハク,su4pu2)、心(シン,xin1)
       〔槲
(コク,hu2)、樕別名。〕
      
 カシワ Quercus dentata(槲樹・柞櫟)》

0092 榮
(エイ,rong2)、桐木(トウボク,tong2mu4)
       〔即梧桐
(ゴトウ,wu2tong2)。〕
       
アオギリ Firmania simplex(梧桐)》

0093 棧木
(サンボク,zhan4mu4)、干木(カンボク,gan1mu4)
       〔橿木
(キョウボク,jiang1mu4)也。江東呼木(ボクカク,mu4ge2)

0094 ■{厭に木}桑
(エンソウ,yan3sang1)、山桑(サンソウ,shan1sang1)
       〔似桑、材中作弓及車轅。〕
       
ヤマグワ Morus bombycis(鷄桑)か》

0095 木自弊、
(シン,shen1)
       〔弊、踣
(ホク,bo2)
0096 立死、
(シ,zi1)
       〔不弊頓。〕
0097 蔽者、翳
(エイ,yi4)
       〔樹蔭翳覆地者。『詩』云、其其翳。〕

0098 木相磨、
(ゲツ,nie4)
       〔樹枝相切磨。〕

0099 
(セキ,cuo4)(シャク,que4)
       〔謂木皮甲錯。〕

0100 梢
(ショウ,shao1)、梢櫂(ショウタク,shao1zhuo2)
       〔謂木无枝柯、梢櫂長而殺者。〕
 
0101 樅(ショウ,cong1)、松葉柏身。
       〔今太廟梁材、用此木。『尸子』所謂松柏之鼠、不知堂密之有美樅。〕
       
モミの同属異種 Abies fabri(冷杉・樅)》
0102 檜
(カイ,gui4)、柏葉松身。
       〔『詩』曰、檜楫松舟。〕
       
ビャクシン Sabina chinensis(檜)》

0103 句
(コウ,gou1)如羽、喬(キョウ,qiao2)
       〔樹枝曲卷、似鳥毛羽。〕
0104 下句曰
(キュウ,qiu2)
0105 上句曰喬。

0106 如木楸(ボクシュウ,mu4qiu1)、曰喬。
       〔楸樹、性其上
(ショウ,song3)。〕
0107 如竹箭
(チクセン,zhu2jian4)、曰苞(ホウ,bao1)
       〔篠竹
(ショウチク,xiao3zhu2)、性叢生。〕
0108 如松柏
(ショウハク,song1bai3)、曰茂(ボウ,mao4)
       〔枝葉婆婆。〕
0109 如槐、曰茂。
       〔言亦扶茂盛。〕

0110 祝州木柔英。
       〔皆未詳。〕

0111 槐
(カイ,huai2)、棘(キョク,ji2)、醜喬(キョウ,qiao2)
       〔枝皆翹。〕
0112 桑
(ソウ,sang1)、柳(リュウ,liu3)、醜條(ジョウ,tiao2)
       〔阿那垂條。〕
0113 椒
(ショウ,jiao1)(サツ,sha1)、醜(キュウ,qiu2)
       〔萸子、聚生成房貌。今江東亦呼莍。樧、似茱萸
(シュユ,zhu1yu2)而小、赤色。〕
       
『四部備要』本は、注の萸子を 茱萸子に作る。茱萸については、ゴシュユを見よ》
       
《椒は Zanthoxylum bungeanum(花椒)、は Z.ailanthoides(食茱萸)。は それらの実の房。
0114 桃
(トウ,tao2)、李(リ,li3)、醜核(カク,he2)
       〔子中有核人。〕

0115 瓜
(カ,gua1)曰、華(カ,hua2)之。
0116 桃
(トウ,tao2)曰、膽(タン,dan3)之。
0117 棗
(ソウ,zao3)、李(リ,li3)曰、疐(テイ,di4)之。
0118 樝
(ザ,zha1)、梨(リ,li2)曰、鑽(サン,zuan1)之。
       〔皆啖食治擇之名。樝似梨而酢澁、見『禮記』。〕

0119 小枝上繚、爲喬
(キョウ,qiao2)
       〔謂細枝皆翹繚、上句者、名爲喬木。〕
0120 無枝、爲檄
(ゲキ,xi2)
       〔檄櫂、直上。〕

0121 木族生、爲灌(カン,guan4)
       〔族、叢。〕 



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